アメリカの中高では、不審者が侵入するとロックダウンに入る!?

皆さま、こんにちは!

記事をご覧頂き誠にありがとうございます!

当ブログ管理人のシンカーです!


私は高校を卒業するまでアメリカで過ごし、
高校卒業後は日本の大学に進学し、現在は日本
の会社で働いている日系2世のアメリカ人です。

当ブログでは主に…

暗号資産投資、リップル、XRP、投資全般

…についての記事を配信していますが、たまに
アメリカの文化やアメリカでした経験に関する
記事の配信もしています!


今回の記事では、下記のツイートの内容を
掘り下げていきます。

招かざる訪問者

周辺地域の治安の良し悪しにもよりますが、
アメリカの中高では結構な頻度で校内に
不審者が侵入してくることがあります。

困っちゃん

え…なかなか想像がつかないのですが…どれぐらいの頻度で学校に不審者が侵入してくるのですか…?
私の場合、中学生の時は一度も校内に不審者が侵入してきたことはありませんでしたが、高校に入学してからは5回ほど校内に不審者が侵入してきました…

管理人

私が高校に通っていた4年間の間(アメリカの
高校は4年制)、5回ほど不審者が校内に侵入
してきましたが、そのうち2回は、他校
(スポーツのライバル校)の生徒が冷やかしや
いたずらをしに侵入してきただけでした
(その生徒は現行犯逮捕されました)。

しかし5回のうち3回はガチもんの
侵入者でした。

その3回のうち2回は、銃を所持している
おじさんが校内に侵入してきました
(2回とも同一人物)。

彼は精神に何らかの異常をきたしており、
銃を手に持ちながら、30分間ほど学校を徘徊
していました。

幸い校内に常駐していた警官に
逮捕されました。

しかし3回のうちのもう1回は上記のように
すんなりと一件落着とはならなかったのです…

ロックダウンとは?

それは私が高校3年生の時でした。

私は3時限目の授業を受けていました。

いつもと変わらない何気ない日常…


「今日の昼ごはんは何を食べようかな〜」

…なんて考えながら授業を受けていました。

しかしこの日常が突如崩される…

突然大きな警報音が校内に鳴り響いた。

その警報を聞いた私は瞬時にただ事ではない
ことを察知しました。

その警報音は校内に不審者が侵入してきた時に
鳴る警報だったからです。

私はその警報音を高校に入学してからすでに3回
聞いていたので、状況をすぐに把握できました。

先生もその警報を聞くなり、すぐに授業を
中断させ、教室にある前方・後方のドアを
すぐに施錠しました。

…ロックダウンが始まったのです。

不審者が校内に侵入してきたことを学校の
管理部が把握すると、管理部は校内中に設置
されているスピーカーから警報を流します。


アラーム音の後、スピーカーから…

「校内に不審者が侵入してきたので
教師・スタッフは直ちにロックダウン状態に
入ってください」

「生徒は今いる教室に残り、絶対に外には
出ないでください」

「外にいる生徒はただちに最寄りの教室に
入室してください」


…という警報アナウンスが流れました。

ロックダウン状態に入ると安全確認が完了する
まで、絶対に教室外には出れません。

それは教室外に出た生徒が不審者と遭遇し、
何らかの危害を加えられる危険性が
あるからです。

また、このロックダウンシステムには
とても残酷な側面があります..

残酷なシステム

ロックダウンの警報アナウンスが流れた後、
教師や学校のスタッフは3分以内に
完全ロックダウン状態を敷かなければ
いけません。

各教室のドアは施錠だけではなく、ごっつい
チェーンをハンドルに巻きつけ、全生徒は
ドアから一番離れた場所に隔離されます。

不審者がアサルトライフルなどの機関銃や
重銃器など弾丸がドアを貫通するような武器を
装備している可能性があるためです。

そのため教室で授業を受けていない生徒…

・体育のためグラウンドにいる生徒
・トイレに行っている生徒
・教室外でサボっている生徒


…はロックダウンのアナウンスが発令されて
から3分以内に、どこでもいいので最寄りの教室
に瞬時に入室しなければいけません。

なぜ3分以内と猶予時間が短いのか?

それは猶予時間を長くしてしまうと、生徒が
不審者に遭遇し、危害を加えられるリスクが
増幅してしまうからです。

また、不審者を教室の中に侵入させてしまう
リスクをなるべく小さくするためです。

なるべく短時間でロックダウン状態を確立し、
生徒を安全な場所に避難させなければ
いけないのです。

ちなみにこのロックダウンは年に一度予行訓練
が行われるので、生徒も非常時にどう行動
しなければいけないのか把握をしています。

避難までの猶予時間は3分と相当短いので、
当然ながら教室に入りそびれてしまう生徒も
少なからず出てきてしまいます。

その場合どうするのでしょうか?

単純にドアノブに巻かれたチェーンを外し、
施錠を解き生徒を入れるのか?

そうは行かないのです…

そのため教室に入りそびれた生徒は、
教室外に締め出されたしまうのです。


非常に残酷な制度ですが、一人の生徒よりも
教室内にいる十数人の生徒の人命を優先する
ためこのようなシステムとなっています。

困っちゃん

えぇ!?…なんでこんな残酷なシステムに なっているのですか…?
それは不審者が生徒になりすまして教室内に侵入してくるリスクが想定されているからです。

アメリカの公立高校は大規模で、生徒は大体2000人〜5000人ほどいるので、ちょっとした村や町と遜色ない規模です。

当然ながら各先生が担当している生徒全員の顔と名前を覚えるのは非常に難しいです。

管理人

アメリカの高校は履修制で、一人の先生が
100人ぐらいの生徒を担当しているため、
担当している生徒全員の顔・名前を完全に
把握することは非常に難しいです。

そのため不審者が生徒のふりをしているのか
否か先生には判断がつかないのです。

もし仮に、逃げそびれた生徒のふりを
している不審者を教室内に入れてしまったら
どうなってしまうでしょうか?

大惨事になってしまいます…

そういった事態を起こさないためにも、
このような厳しく残酷ともいえるルールが
敷かれているのです。

もちろん逃げそびれた生徒をそのまま放置する
というわけにもいきません。

逃げそびれた生徒は、校内に配置されている
警察の屯所に即座に向かうよう校内アナウンス
を通じて、指示を受けています。

また近くに不審者がいると想定される場合は、
トイレなどに隠れ、生徒自らがトイレの鍵を
施錠し、トイレ内にこもるよう指示を
受けています。

生き地獄の6時間ロックダウン

さて、話を一旦本題に戻しましょう。

警報・アナウンスが鳴り始め3分後に予定通り
ロックダウン状態が敷かれました。

今回は、逃げ遅れた生徒もいませんでした。

先生や生徒も特にパニック状態には陥らず、
淡々と作業をこなしていました。

先生は何度もロックダウンを経験して
いますし、生徒もすでに高校に入学してから
何度かロックダウンを経験しています…

初めてロックダウンを経験する1年生は少し
戸惑いながらも、上級生の先輩や先生に
状況を説明してもらいながら少しずつ
状況を飲み込んでいきます。

何よりも年に一度行われる予行訓練が
功を奏していました。

ロックダウン状態に入ると、まず最初に必ず
行うことがあります。

それは親への電話です。

親に現在の状況を伝え、帰りが遅くなることを
伝えないといけないのです。

生徒によっては、親が車で迎えに来るケースも
あるので、前もって電話をして、迎えに
来ないよう伝えなければならないのです。

もちろんそんな状況でも我が子の心配をし、
学校の外でスタンバイをする親もいます。

しかし、凶器を持った不審者が校内にいる
ため、学校の周囲1キロほどは警察により封鎖
されるので、親は遠くから見守ることしか
できないのです。

みんな何度も経験しているためか慣れている
様子で、特にパニックなどは起こりません。

後は不審者が捕まるまでひたすら
待つだけです。

「きっと前回のようにすぐに捕まるさ」

…と私は楽観していました。

その期待が大きく裏切られることになるなんて
その時の私は微塵も思っていなかったのです…

ロックダウン状態が施行されてから1時間が
経ちました。

1時間も経つと緊張感はだいぶ薄れ、生徒は各々
の方法で時間を潰していました。

トランプで遊ぶ生徒たち、ゲームで遊ぶ生徒、
談笑している生徒たち…


「もう1時間も経ったんだ、さすがに
もう捕まるでしょう」

…誰もがそう考えていたに違いない。

解放までもうまもなく…と。

しかし時間は刻々と過ぎていった。

さすがに2時間に達するとリラックスムードから
一転、生徒の間では苛立ちが募り始めて
いました。

特に一番の問題がトイレでした。

ロックダウン中、施錠を解いてはいけない
というルールになっているので、トイレにも
行けないのです。

トイレが教室に備え付けられているケースも
ありましたが、不運にも私がその日いた教室
にトイレは備え付けられていなかったのです。

ではトイレはどうするのか…

各教室には災害やロックダウンなどの不測の
事態が起きた時のために、非常食や
ブランケットなどが備えられていました。

簡易トイレも備えられていました…

なので教室の一角に簡易トイレを設置し、
本棚や机やカーテンなどを駆使し、工夫をして
個室のような密室を作り、そこで用を足す…

というような状況です。

このことに関しては、これ以上言及しないので
後はご想像にお任せします…

3時間が経過すると苛立ちも収まり、
諦めムードが漂ってきました。


3時間も経っているのに、
なぜ犯人が捕まらないのか?

実はアメリカの公立高校のキャンパスの敷地は
とても広いのです。

私が通っていた高校は肌感覚ではありますが、
東京ドーム2個分ぐらいの広さがあり、建物も
大小含めて30棟以上ありました。

なので不審者が籠城作戦を取ってしまうと
警察も捕まえるのに一苦労するのです。

大勢の警官や警察犬が校内を走り回って
いました。

しかし警官の必死の捜索も虚しく、不審者は
一向に捕まる気配がありませんでした。

…そして遂に5時間が経過してしまったのです。

日もすっかり落ち、外は真っ暗でした。

長時間密室に籠っているストレスで号泣を
し始める女子生徒やブチギレ始める男子生徒…

教室内はまさに地獄絵図と化していました。

皆のストレスは絶頂に達していましたが、
そんな中でも先生や一部の生徒は他の生徒を
励まし、お互い支え合い始めたのです。

先述したように、アメリカの高校は履修制
なので、時限ごとに一緒に授業を受ける
クラスメートが異なります。

なので、クラスメート間の関係はとても
ドライです。

そんな中、5時間もの間密閉空間で共に時間を
過ごし、艱難辛苦を乗り越え、互いを励まし
合っていくうちに皮肉にも普段何気ない存在
だったクラスメート間で絆が生まれ
始めていました。

そして遂にその瞬間がやってきたのでした…

皆が首を長くして待ちわびていたアナウンスが
遂に流れたのです…

「不審者は先ほど警官に確保され、現行犯逮捕
されました」

「安全の確認が取れたので、ロックダウンを

解除します」

「長い間ご苦労様でした」

「この後の対応に関しては各教室の先生や学校
のスタッフは各々で指示を出し、生徒はそれに
従ってください」


…そのアナウンスが流れた瞬間、私のクラス
ではスタンディングオーベーションが
巻き起こりました。


みんなハイタッチをし合い、ハグをし合い、
歓喜の瞬間を共に分かち合ったのでした。

その後は先生の指示の元、生徒たちは帰宅して
いきました。

今回の長時間のロックダウンにより生徒が
精神的・肉体的疲労を被ったとして、次の日
学校は全面休講となりました。

事件が起きたのは木曜日だったので、3連休
となったのです。

今回逮捕された犯人はまたしても学校の近隣に
住んでいたおじさんでした。

彼も精神に異常をきたしていました。

そして来たる月曜日、3連休を挟み生徒たちは
登校をしました。

私もいつも通り登校をしました。

そこに広がっていたのは今までと
何ら変わらない景色。

まるで何事もなかったかのように普段の
学校生活、普段の日常がそこにはありました。

まとめ

アメリカの高校では、毎年多くの銃撃事件や
不審者侵入事件が起きています。

アメリカの社会では常に銃や犯罪を頭の
どこかで意識をしながら生活をしなければ
いけません。

そんな生活を長らく続けていると感覚も
鈍っていきます。

こういった事件が起きても、数日経てば意識
から薄れ、数週間経てばすっかり忘れ去られ、
数年経てば高校生活の一つの思い出になって
しまっているのです。

これが果たして健全な社会と言えるの
でしょうか?

私は日本に来て以来、銃や犯罪の恐怖を
意識せずに暮らせることに大きな幸せを
感じております。

早期に銃の規制を行い、人々が銃犯罪によって
もたらされる悲しみや不幸に晒されないような
社会を作った先人には感謝をしたいですね。

今回の記事は以上となります。

最後まで読んで頂き誠に
ありがとうございました。