今回のてにログでは...
ステーブルコインがブリッジ通貨の役割を果たせるか否か、てにったーさんが自身の考察を交えながら丁寧に解説をしてくれています
(配信日:2018年12月10日)

てにったー

個人的にはステーブルコインをブリッジ通貨として使うことは「原理的には」可能だと思います。

しかしながら以下の3つの課題をクリアする必要があるかと思います。
①発行者の信用
1つ目が発行者の信用です。

ブリッジ通貨は世界中の人が利用します。

ステーブルコインはUSD現金やBTCのような価値の現物ではなく発行者の信用(IOU)である以上、利用者から価値の裏付け(or保証)が信用される必要があります。

その点でテザー社USDTではなく、JPモルガンやシティのような確固たる信用を持つ主体が発行するのが望ましいと考えられます。

ここで問題が生じます。

それは彼らがステーブルコインを発行するだけの金銭的なインセンティブは何か?です。

ブリッジ通貨に必要な発行額とは相当な物ですが、彼らが社内資産あるいは顧客資産を利用して発行した場合、発行によって収益が得られるのか、得られたとして他の運用より有利か不明です。
②スケーラビリティ
2つ目がスケーラビリティです。

国際送金は1日だけで5兆ドル、つまり年間で1000兆ドル以上と言われています。

これのほんの一部だけでもブリッジ送金に置き換えるとしても膨大な額のブリッジ通貨を発行する必要があります。

ステーブルコインがステーブルコインである以上それ自体が価値上昇しないので、送金需要増大に応じて民間発行元が発行する(=保証する)額が跳ね上がります。

どの程度のシェアを目指すかにもよりますが、ステーブルコインで送金需要に合わせて発行数量をスケールさせることは事実上困難かと思います。
③流動性の確保
最後の3つ目は流動性の確保です。

ご存知の通り、ブリッジ送金を実現するには、法定通貨/ステーブルコイン間ペアの市場流動性を世界中で創出することが必要になります。

現状でそれらの市場が無い以上、誰かが資金を投げ出して市場を(半ば人工的に)生み出す必要があります。

この手の市場は勝手に成長するとは考えにくいので市場参加者への報酬等に資金が必要です。

その場合、資金を投げ出す人はリターンが見込めません。

ステーブルコインの価格が上がるわけでもないので。

言い換えるとステーブルコインの流動性創出のためには膨大な資金を放出する必要があるのです。

このような観点において、誰かが特定のステーブルコインの流動性を創出させるだけのインセンティブが見当たりません。


おねがい
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